オレ・さま

早目のブレーキ

テレビで、難病と闘っている子どもたちにインタビューする内容の番組を偶然に観ることがあった。いろいろな子が語っていた。高校生なのに小学3年くらいの小さな体をしている女の子。先天的に肝臓に障害を持つ姉と弟。夏でも帽子、サングラス、長袖シャツで防備を固めているのは紫外線を浴びることができない体質の少年だ。首から上を全く動かせない子もいる。つらいだろうが、そんな自分の境遇を嘆くこともなく、どの子も当然のような顔で坦々と語っている。

中でも印象に強く残ったのは、サングラスをかけた男子大学生の話だった。彼は幼い頃に片方の眼球を摘出し、もう片方も視力が弱く、外見上の理由と医学的な必要性からいつもサングラスをかけていた。小3の頃、そのサングラスをしていることが生意気だと上級生ににらまれた。理由を問い詰められて答えられないでいると、その上級生は彼の顔に唾を吐きかけて立ち去ったという。ひどい話である。しかし彼は、そのつらい体験をバネに発奮し、猛勉強をし、有名大学に進学した。

子どもというのは、未熟ゆえに相手のことを思いやることができない。サングラスで隠さなければならない事情が何かあるのかも知れないとは、なかなか想像できない。表面だけを見て生意気な下級生と決めつけ、テレビや映画で見たことのあるツバを吐きかけるという屈辱的なやり方でこらしめることを思いつく。無知で無理解で無邪気なゆえにしでかしてしまう罪。人生経験が少ないがために思慮の浅い単純行動に走ってしまう罪。想像力が乏しいがために相手の気持ちを理解できない罪。まだ10年ほどしか生きていないのだからそれはしかたのないことなのだ。そう思う。そうは思いながらも、この時のボクは、それでも何とかしてこういう卑劣な行為をなくすことはできないのだろうか、と思いを巡らせていた。イジメを含むこの種のことをゼロにはできなくても、せめて数を減らしたり、残酷さの程度を軽減することはできないものかと考えていた。

考えられる一つのやり方は、唾を吐きかけることや人を足蹴にする、人前でパンツを引き下げるなど、自尊心をひどく傷つける劣悪な行為を、周囲の大人が絶対に許さないことである。子どもがとっさにそういう行動をとるということは、それまでに何度かやったことがあるか、または自分がされた経験があるとか、どこかで目にしたことがあるとか、身近にそういうことをする上級生や先輩がいることなどが考えられる。その結果、あまり悪いことだと感じずに自分もするようになり、幾分、癖になっていることが考えられる。あの上級生がもしも唾をかけることを思いつかず、代わりに、無理矢理サングラスをはずす行為にでも出ていたら、痛々しい手術の跡を目にすることになり、その瞬間にサングラスの理由を悟り、無言で去っていくか、ひょっとしたらゴメンの一言でも残したかもしれない。小3の子の屈辱感が少ないのはどちらなのか、それは較べようもないが、少なくとも上級生にとっては何か大きなものを反省と共に学ぶ機会にはなるのではないか。

25年前、西尾市で中2の子が、仲間からのイジメに耐えられず自殺した。川の中に顔を押し込まれたり使い走りをさせられたり、トータルで百万円もの金を巻き上げられたあげくのことだった。当時はイジメが自殺につながる例はまだ珍しく、とてもショックだったことを憶えている。その頃と比べると最近は自殺を選ぶ子が増えたような気がする。中学生ともなるとイジメのやり方もあくどさが増す。いじめている当人たちはまさか死ぬとは思わないでやっているようだが、ニュースを見る度にあまりの想像力の欠如が情けなくなることもある。軽い気持ちがやがて集団的になったり長期化したり悪質化する。もっと早い段階で、加害者側の心に自制のブレーキがかかるようにはできないものか。それには結局、子どもたち一人一人の心の中に、善悪を判断する基準、モラルのようなものが育ち、相手の気持ちを考えることのできる想像力が育っていることが必要だろう。理性的な善悪の判断は本能ではない。人間として成長する中で教育されるものだ。それを育てるのは誰か。それはやはり大人であり、親であり、教育であり、社会でしかない。つまりは我々一人一人ということになる。

サングラスの少年に唾を吐いた当時の上級生は、今ごろ、自分がそんなひどいことをしたことなどすっかり忘れて大学生にでもなっているのだろうし、巻き上げたお金で飲み食いをした加害者の少年たちは、マスコミ沙汰になったことでいくらか反省はしただろうが、今は当時の自分と同じ中学生の子を持つ親になって幸せに暮らしているのだろう。罪のない側がどこにもやり場のない怒りを抱えて苦しんでいて、罪のある側がのうのうと生きている。その理不尽さを思うとやり切れない。せめて、加害者たちが少しでも反省し、心を痛めていてくれることを願うばかりである。

ツチブタがくさい?

今年の梅雨は長くてよく降る。子どもたちが室内に閉じ込められることも多い。ポランの子は雨でも外でよく遊ぶが、それでもやはり室内で過ごさなければならないこともある。そんな雨の日の遊びとして時々、言葉遊びをする。そこで生まれた作品を紹介する。まずは、「サヨナラ三角また来て四角」。昔からある言い回しを自分流に作ってしまおうという遊びだ。最初の部分以外、どのように続けてもまったく自由である。(どれも「四角」の続きから)

しかくはチョコ
チョコはあまい
あまいはラムネ
ラムネはとける
とけるはアイス
アイスはスケート
スケートはすべる
すべるは水たまり
水たまりは雨
雨はつめたい
つめたいはほっきょく
ほっきょくはしろくま
しろくまはでっかい
でっかいはぞうさん
ぞうさんはおもい
おもいはでぶっちょな
おとうさん
(1・女)

しかくはたこ
たこは空
空は青い
青いはちきゅう
ちきゅうはまわる
まわるはすし
すしはつまらない
つまらないのはしゅくだいだ
(2・男)
わかるわかる

しかくはとうふ
とうふはふわふわ
ふわふわはベッド
ベッドはあったかい
あったかいはおんせん
おんせんは広い
広いはうんどうじょう
うんどうじょうはあそぶ
あそぶはたのしい
たのしいはゲーム
ゲームをやりすぎると
目がわるくなるぞ
(3・男)
いつも言われてるんだろ?

四角はダンボール
タンボールは茶色
茶色はココア
ココアは熱い
熱いは熱とう
熱とうはリアクション芸人
リアクション芸人は出川
出川はヘルニア持ちの小デブです
(6・女)

二つ目の言葉遊びは名前アクロスティック。自分の名前を織り込んで言葉をつないでいく。適当に作っただけなのに、妙におかしいイメージが膨らむ。あまり苦労をしないで楽しいものができる。捨てがたいものがたくさんあったがスペースの都合で絞った。

らさきラクダ
っぱパンダ
るぼうず
みき
ここま
まやま
まとやさい
(1・男)

わーい
ねがとんだ
かましい
やわせ
たし
こはどこ?
(1・女)

りつきをした
のぐをつかったら
  いろがぜんぶなくなった
りはべたべた
ちごはおいしい
みきがたおれた
つねがおどろいた
(1・女)

りは
らざらで
には
うふんして
かびたい
んぼまで
うじんをたすけにいった
たいたいきもちだ
(2・男) いいことをすると気持ちがいいんだよね。

まにのぼる
ちに行く
もをたべる
けいをみる
がたおれる
がのぼる
っくがいる
(2・男)


しがころがる
じょが
しにつまずく
しんとおとがする
んながびっくりする
んながおこる
ーわーうるさくなった
(2・女) まじょのものがたりができそうだね。

んぼがくさい
めがくさい
きにくがくさい
みかがくさい
ゅうまいがくさい
まがくさい
せいのツチブタがくさい
(2・男) くさいシュウマイはいやだけど、
ツチブタならちょっとかいでみたい。

けないことをした
とにだされた
はらにいった
うせいは
んこした
のびして
ちまんえんをうばった
(2・男) うんこしてきもちよくなったのに、
またいけないことしたのかア・・・

ごやにいこう
にがいた
じがみえる
ろいゆきだ
うせーじをたべよう
しがくさいぞ
めがまずいぞ
(3・男) マメは栄養があるでようけ食べやあよ。

ききしますが
さいはすきですか
まはたのしいですか
るずるうどんをたべる
つい
があつい
よっきい
(3・男) おききしますが、最後のトヨッキイを
別の言葉にかえるつもりはありませんか?

らすがいる
のてっぺんにつばめのすがある
なの中でちょうがみつをすってる
ッパをふいてる人がいる
いすをたべたい
りの中へはいった
このウンチがくさい
(3・女)

とんでね
ぶんでさかだち練習したよ
たい、これでしっぱいしたの何回め
  だろう。頭に
びが入るよ。もうやめようか。
  いつもやりっぱなし。それが私
くっとしたよ。どこからかすきな
  音楽聞こえて来たよ
みもおいでよ おとぎの国へ
(3・女)

がわのほとり
いこくの草花
わさわゆれる
ふうのおにわ
んらん楽しい
ールにしたがう
つの花
(3・女) きれいにまとまりました。

ずつみに
きいも
いとし
て、はやくたべよう
んこもたべよう
(4・女) リズムがいいね。

みがわからない
らがきいろだ!
ろわれているのかな
めだといいな
あ、げんじつだ
(4・女) God bless you!

そのそ歩くシカ
ちゃぐちゃしているシカ
くわをたべるシカ
タスをたべるシカ

んぼがシカの頭にとまる
(4・男)

いがんを歩いていた
ょうが合そうの発表会だと
   思い出した
やく走って間に合った
っぱをふいた
いこをたたいた
ラス発表はつかれた
くらとふとんでねよう
(6・男) 海の近くの学校のよう。
間に合ってよかった。
ゆっくりオヤスミ。

ちがとぶ
しのみに当たる
ぬと
うれいになる
すい色
ぬってさいあく
?いいアイデア。うまれかわる
(4・男)

まは今日も
りまきをしていない
んきにうんてん
イヤをこうかん
くらをぶんなげたら
かいが大ばくはつ
(4・男) タイヤ交換なんて、
のんきなママもやるときゃやるねえ。

だれか持ってエ

人手不足の青パトを手伝って通学路の半分ほどを子どもたちと一緒に歩いている。低学年の子が持ち物の重さに苦労している実態をあらためて知った。ランドセル、濡れた水着、メロディオン、水筒、絵本、傘・・・。十キロ近くになるかもしれない。体重の割合からしたらとんでもない重さだ。何とかできないものか。