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荒井良二
トーク&ライブ
7月22日タプタプイベントスペースにおいて、荒井良二さんによる「トーク&ライブ」が開催されました。

2005年に、スウェーデンの児童少年文学賞である「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を授賞された荒井さん。
昨年7月の「荒井良二劇場」から一年、ご多忙の中はるばる豊橋までやってきてくれました。
会場は荒井さんを待ちわびたお客様で超満員。

折しもタプタプでは荒井さんの原画展を開催中。
ご自分の絵に囲まれて、ワークショップのお話、幼少時代のお話、好きな音楽のお話まで、歌とお話を交えた「トーク&ライブ」とても楽しいひとときでした。

荒井良二さんのサイトはこちらです。
満員のお客様の間から、荒井さん登場。
「僕の講演は全部休憩みたいなモノだから気楽にどうぞ。」とお話をはじめる荒井さんです。
前日、東京で「絵本作家になりたい人たち」の塾があって、そこで講演をしたのだそうです。
絵本作家になるにはどんな努力をすればよいかと言う質問を受けて、こんな風に答えたそうです。

どんな人でもそれぞれ努力しています。
『絵本作家になるぞ〜。』と言う意識を持ち続ける事が大事かな。

走るのが得意なら、走りながら、絵本作家になるぞー。
算数が好きなら、計算しながら、絵本作家になるぞー。
虫が好きだー、絵本作家になるぞー。
牛乳が早飲みできる、絵本作家になるぞー。

いつでも「絵本作家になるぞー。」と思い続ける事が大切だと思います。

絵本をどうやって作るかは教える事ができないけれど(教え方が分からないからね。)、「どうすれば喜んでもらえるか。」と考えることが大事なんじゃないかな。
それと絵本作家は「なくす」って所から始めないといけないんじゃないかな、と思っています。
歌もたくさん歌ってれた荒井さん。
全て自分の作品なのです。
こんな曲を歌ってくれました。

「僕の夜、君の夜」
「小さな王様」
「フィンランドの象の貯金箱」

などなど・・・。
とても多忙な荒井さん。

今年はいっぱい本が出る予定なのだそうですが、「何冊出るかは、僕次第。」なのだそうです。
それでも「空気公団」と言うバンドの結成10周年記念の絵本や宮沢賢治の「オツベルと象」などうまくいくと10数冊出る予定で、荒井良二ファンの皆様は要チェックです。

「色々あるが何年も待たせてちゃってるんですよ、子供が一気に夏休みの宿題をやっているみたい。」と荒井さん。
講演の際にギターで歌い始めたのは最近なのだそうです。

絵本を書いているといろいろなところに呼ばれるんだけど、お客さんが最初はメモしようとするんだけど、大事な事を何も言わないから、メモ帳をしまっちゃうんですよね。
絵本を書いて、歌っているんだと言う事を表現したいんです。
大事な事を言葉でうまく伝える人は他にいるだろうけどオレの方法はこれかな、と。

最初は世界の絵本展で「歌いたいんだけど・・・。」というと、「いいですよ。」と言ってくれたんですよ。
それで、すずきこうじさんと飯野和好さんと急遽バンドを組んで、前日に急いで曲を作って何となく歌ったんです、それが今でも続いているんですよ。
作曲家の野村誠さんとワークショップをしたときのお話をしてくれました。

何故グランドピアノ、五線譜は黒いのんだろう?
五線譜をカラフルにしよう、グランドピアノもペイントしよう!!
と言う事で美術館にお願いしたら、廃校のグランドピアノを提供してくれたんです。
それに子供たちとペイントをしました。

子供たちは班に分かれて、タイトルを決め作曲しました。
作曲と言っても音符の代わりに大きな布に絵を描いたんですよ。

それで最終日に野外で演奏会をしたんです。
絵の楽譜を野村誠さんが弾くんです。

彼は班の子供たちと話をしながら、子供の気持ちを理解して音にしたんです。
楽譜を見ないで弾くのかと思ったら、鍵盤見ないで絵を見ながら弾くんです。

子供たちはすごい思い出、それ以上の記憶になったんじゃないかなぁ。
オレが子供ならいいなぁ、こういう変な大人って必要だなぁと思いました。
アーティストはそういう役目、町中では煙たがられたとしても、子供たちと精通する何かを持っていると思うんです。

それか、こちらのレベルが低いのかも、小学生以下なのかも知れませんね。
ここでお客さんから「荒井さん自信は、どんな子供だったんですか?」と質問コーナー。

今とは違って話さない子供でしたね。
絵や落書きばかり書いていました、話さないですむからね。

話すのが嫌ではないんだけど、「あのー。」という感じで終わってしまうんです。
何かを貰っても「ありがとう。」と言えない、言葉が出ない子で、それを悩んだりした時もあります。

小学 1年生の時、学校に行けない子になったんです。
何故だか分からないんだけど、学校に行くと嫌になって帰って来ちゃう。
帰って絵を描いていると、わがままだと言われました。
それが、ご飯が食べられなくなり、げっそりして栄養失調になったんです。

それから、学校の対応も変わりました。
先生は毎日、様子を見に来ました。

小学 3年生の時にクラス替えがありました。
それが原因ではないと思うんですが、そこからは楽しく学校に通いました。
3年生からの思い出は総天然色、それまではモノクローム。
1、2年生だけが暗いトンネルみたいな感じなんです。
ご自身の絵本とワークショップに関して、こんなお話をしてくれました。

オレの絵本はワークショップとに密接な関係があるんですよ。

話の内容で「心を動かそう。」とか「感動させよう。」と言うより、絵本の中のあのページ、あの場面を忘れられない、と言う本を作りたいんです。

たとえばルフランルフランだってそうです。

子供がドーナツのページがどうしても忘れられない。
ドーナツ見たいばかりに大人にお願いして本を見る。
ドーナツ見て「確かにドーナツはここにある。」そしたら安心して寝る。
翌日に「ドーナツあるかな?」「確認」「ドーナツあります、ほっ。」

そういう絵本ってうれしいな、と思う。

絵本のアプローチ、見方は作家の作品に現れるモノだと思います。
大人は絵本を、理屈だとか文学的視点で眺め、文を呼んで理解しようとするけど、「子供はそんな事ないんじゃないかな。」と思っていて、何か子供が引っかかる事を、こちらからアプローチしたいんです。

ワークショップもそんな感じです。
「ピアノに絵を描いて、演奏して、さよなら〜。」みたいな感じ。
「今日は何だったんだろう?」「なんでピアノにペイントしたんだろう?」とハテナを持って帰るのがオレのワークショップの最大の目的でもあるんです。
講演も終演に近づいて「あと3時間くらいやりたい気分だねぇ。」と荒井さん。

スウェーデンの「セーラーとペッカ」という、本を紹介してくれました。
全部で 5巻あり、お薦めの本でいろんなところで紹介しているのだそうです。

スウェーデンと縁がない頃から、スウェーデンの絵本を持っていました。
「ヨックム・ノードストリューム」という絵本作家ではなくて、美術家・絵描きさんの本です。

その人の事も知らないし、スウェーデン語だから話の内容も分からない。
しかし、この絵本はただならぬ気配を放っていたんです。
これは家に持って帰らねば、と思った本です。

5月にスウェーデン大使館にヨックム・ノードストリュームが東京に来た時に、オレも呼ばれて意気投合したんです。
「あぁ、いるんだぁ。スウェーデンにもこういうヤツが・・・。」と安心しましたね。
終演時刻も迫る中、荒井さんの音楽について語ってくれました。

高校生の時にギターが弾けなくて友達に教えて貰ったんです。
そんな中で高田渡さんのアルバムを聴いて、この詞は何だろうと思ったんです。

渡さんは、山之内獏さんの詞、シャンソンなどのフランス音楽やミュージシャンなど、音楽の窓口を広げてくれました、酔っぱらいでしたけどね。

リハーサルに渡さんの曲歌ってたらスタッフの人が喜んでくれたんですよ。
全部は歌えないけど、体に染み込んでるんですね。
(と言いながら、高田渡さんの「自転車に乗って」を少し歌い出しました。)

思い出のフォーク大会もいいですねぇ。
今度は「懐かしのフォーク特集」をタブタブでやるって事でどうでしょうか?
(会場からは大きな拍手!!)

「だって自分の歌より得意だもんね。」と荒井さん。
恒例の絵本即売&サイン会。
全てのお客さんとゆっくり会話しながらサインする荒井さんです。
OFF SHOT
TapTapをバックに記念写真。
ポーズを決めてくれる荒井さんです。
ご自分の絵に囲まれてリハーサルをする荒井さん。
「ウィスキーをくれ、ウィスキーをくれ。」と突然歌い出しました。

「え〜、荒井良二が高田渡を・・・、歌うんですかぁ・・・。」
スタッフはびっくり、そして大喜び。
ここから、高田渡ソング、フォークソングパレードが始まり、本番での最終トークにつながっていくのでした。
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