TapTap 絵本専門店 0歳も120歳も絵本はみんなのともだち

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7月23日、アイプラザ豊橋において、荒井良二さんの講演会『荒井良二劇場』が開催されました。
2005年に、スウェーデンの児童少年文学賞である「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を授賞された方の講演とあって、会場は満員御礼状態!!
荒井さん自身による絵本の朗読、「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」授賞式の模様、はては荒井さんによるミニライブまで行われるという盛りだくさんの内容にお客様は大満足の様子。
「癒されました。」「元気が出ました。」と言う声があちらこちらから聞こえてきました。

2007年にはTapTapで原画展を1ヶ月間、開催してくれることになりました。
日時は未定ですが、原画展開催中に荒井さんも来店していただけると言うことです。
こちらも来年のお楽しみにしてください!!
会場からの大きな拍手に迎えられ荒井さん登場。
「こんにちはぁ。こんにちはの『はじまりはじまり』です。」と、まずは「はじまりはじまり」を読んでくださいました。
荒井さんの「はじまり、はじまりぃ。」と言う声が会場の皆さんに響きます。
いろんな所に出掛けるという荒井さん。
1週間前は韓国のソウルに行っていたそうです。
とても忙しく、「いつ仕事しているんだろう・・・。」と言う状態なのだそうです。
アフリカのケニアへ行ったときの様子をお話ししてくれる荒井さん。
同じ絵本作家のあべ弘士さんと出かけたのだそうです。
あべさんは動物の専門家なので、動物の話を色々してくれるのだそうです。
ナイロビから奥に入っていった所にキクユ族と言う民族がいて、そこで私設幼稚園を開いている方がいるのだそうです。
何か応援したいと思い、「絵を描こうか。」と言うことになり幼稚園の看板を描いたのだそうです。
子ども達に「何を描いて欲しい?」と聞くと「ゾウ」と言われたのだそうです。
キクユ族の子ども達は、ゾウもキリンもカバもシマウマも見たことがないのだそうです。
これには、会場からも「へぇー。」との声が上がりました。
次にマサイ族と一緒に蜂蜜を取りに行ったお話をしてくれました。
「蜂に刺されないか?」と聞くと「痛いだけだよ。」と言われたのだそうです。
「それがイヤだっちゅーの。」と思ったのだそうです。
取りに行ったのは、アカシヤの蜂蜜でとてもおいしかったそうです。

他にもいろいろなアフリカの話を、会場の皆さんと対話しながら楽しくお話ししてくれました。
会場からは、大きな笑い声や「ふぅ〜ん。」という感嘆の声が聞こえてきました。
続いて、在韓国スウェーデン大使であるラーシュさんのお話をしてくれました。
2005年にリンドグレーン賞を受賞した時に通訳をしてくれた方なのだそうです。
ラーシュさんは日本、特に俳句が大好きで、スウェーデンで広めているのだそうです。
本当には日本大使になりたかったのですが、日本は人気が高いのでお隣の韓国大使になったのだとか・・・??
ラーシュさんに限らず、スウェーデンの男性は質素で、しかもとても優しいのだそうです。
炊事、洗濯、掃除など何でもするのだそうです。

ここで荒井さん、会場に向かって・・・。
「どうですか、結婚で困っている人、スウェーデンの人は、やさしいですよ。」
会場からは、爆笑が・・・。
続いて、アストリッド・リンドグレーン賞授賞式の模様を映像とジョークをまじえながらお話ししてくれました。
授賞式の模様は国営放送でスウェーデン国内に放送されたのだそうです。
「授賞式の中で、歌を歌いたい。」というと快くOKしてくれ、現地のミュージシャンのギターを借りて歌ったのだそうです。
なぜ、歌ったのかというと、「僕は言葉をあやつる人ではないので、何か体で表現することが似合いかなぁ、と思って歌ってみました。」とのことでした。
つづいて、自身の絵本を読んでくれました。
「それでは、保育の現場では役に立たない荒井良二の本を読んでみたいと思います。」と言う前置きに会場からは笑い声が・・・。

まず「バスにのって」を読んでくれました。
「バスにのって」はスウェーデン語に訳されているのだそうです。
読み終わって・・・。
「ねぇ、役に立たないでしょう。」と荒井さん。
「よく言われるんですよ、『何で最初から歩いていかなかったんだろう』、とか『急げば間に合ったんじゃないの』とか。僕の本は答えが無くて。普通の本は起承転結があるのに、ぼくのは起承転・転・転・転・転・転・転・・・みたいな。」

次に、「そのつもり」
「これは、少しは保育の現場で役に立つかもしれませんね。」とは荒井さんの弁。

つづいて「ルフランルフラン2」
「これも保育の現場ではどうかなぁ・・・。」
続いて「ぼくがつぼくにちぼくようび」「ぼくのキュートナ」「みちくさ劇場」から抜粋して読んでくれました。

「ぼくのキュートナ」では「久しぶりに読みましたが、骨がガクガクしますね。骨抜き状態みたいだなぁ、これ。ある意味、癒しになるよなぁ、『疲れたときにどうぞ』みたいなね。でも、怒る人もいるかもねぇ・・・。」

「自分の描いたものって殆ど見ないんですよ。急にこういうところで読んだりすると、『何じゃ、こりゃぁ・・・。』と思いますね。まじめに作ってるんですけどねぇ。」

荒井さんは、自分の作品をこんな風におっしゃっていましたが、それが荒井作品の魅力であることはもちろん、皆さんご存じです。
最後のコーナーは荒井さんのミニライブ。
お話も面白いのですが、このコーナーがとても良かった、と言うお客さんがたくさんいました。

自作の曲を3曲歌ってくれました。
リンドグレーン賞授賞式の時に歌った曲も歌ってくれました。

「スウェーデンのテレビ局の人に『スウェーデン語で終わってください。』とお願いされたんですよ。発音が分からなかったので、いろんな人に発音を教えてもらって歌いました。スウェーデンの人は親切で優しくておおらかなんです。」

とても素敵な曲でした。
ミニライブが終わって荒井さんからこんな言葉が・・・。

絵本だけ描く人にはなりたくないという切ない願いがあります。
職業を聞かれたら、今日は絵本作家と言いますが、明日は違う肩書きになる・・・かもしれません。
いろんな仕事をしながら絵本に携わっていきたいと思っています。
なぜかというと、絵本の作り手の真ん中にいると読者の顔が見えなくなる、どこかで読者でもありたいんです。
作り手側から一方的に出版していくと言うことよりも、ひとつ作っては休み、本屋さんへ行って「こんな本があったらいいのになぁ・・・。」「これはいい本だなぁ・・・よし、買って帰ろう。」と思いたいんです。

絵本と出会えてすごく良かったです。
僕が子どもの頃にはこんなに絵本はありませんでした。
はじめて、絵本を手に取ったのが19才、大学生で初めて面白いと思いました。
絵本は、子どもにはもちろん、大人にも見てもらいたい、豊かなモノだと思う。
いい絵本の中には、奥深い豊かな森のようなモノがあります。
それにはまりこんでしまう、さまようのが心地よいんです、豊かな気持ちになれます。

保育の現場では役に立たないかもしれませんが、色々なことを考えています。
自分も年をとっていくので老人のための本を作りたいと思っています。
いろんなアプローチで絵本を拡大して広げたいと思います。
絵本をずっと作り続け、ゆっくり絵本に近づき、子どもに近づき、人の心に近づこうと思います。
まだ旅の途中、始まりかもしれない、そんな気持ちで描いています。
きっといつか『保育の現場でも役立つ本』がかけるかもしれないかなぁと思って描いています。

今日はありがとうございました。
TapTapからのプレゼント、赤い帽子を受け取る荒井さん。
「60才になった暁には上下すべて真っ赤にします。その時に、この帽子も使わせてもらいます。」と荒井さん。
喜んでいただけたでしょうか???
アンコールも荒井さんが作曲の歌です。
荒井さんが始めて面白いと思った絵本、「Goodnight Moon (おやすみなさいおつきさま)」を、文章(英文)は全くいじらずにそのまま歌にしたのだそうです。
「絵本の文をそのまま歌うのですが、ちゃんと韻を踏んで、まるで歌のようになっているんです、ふしぎだなぁ・・・。」と荒井さん。

歌い終わって・・・。
「この本を読んで、僕はこんな風になりました。みんなもそんな一冊、あるかもしれませんね。この絵本をすごく大事に思っています、僕の恩人です。」
さいごに・・・。
「絵本屋さんのある所っていい街なんですよ。
子どもの本屋さんがあるって事は・・・。
絵本屋さんだけではなくて、そこに集まる人たちで、だんだん輪が広がっていくんです。大変だと思いますが、それが一番大切だと思います。
僕も応援しますので、みんなで絵本屋さんを応援して下さい。」
と、とても嬉しい言葉を頂きました。
演終了後のサイン会は長蛇の列です。
お客様ひとりひとりとゆっくりお話をして、サインに絵も添えてくれました。
本当に荒井さんの周りは、ゆっくりとした時間が流れている感じがしました。
今回、皆さんから荒井良二さんへのメッセージをたくさんたくさん頂きました。
ここに、皆さんからのメッセージを掲載したいと思います。
荒井さんへのメッセージ、「もっと書きたぁい・・・。」と思われる方は、こちらの掲示板へお書き込み下さい。
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