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「絵本の中のことばたち」コンサート
12月17日豊橋勤労福祉会館(アイプラザ)において、谷川俊太郎さん、谷川賢作さん、宮野裕司さんによるコンサート「絵本の中のことばたち」が開催されました。
当日の会場は、お客さんでびっしり!!
みんなの待ちこがれていた人がやってきた、と言う雰囲気がひしひし伝わってきました。
俊太郎さんの朗読と賢作さんのピアノ、宮野さんのアルトサックスが交錯する、とても素敵なコンサートでした。
親子トークも冴えわたり、会場大爆笑のシーンもたくさんありました。
TapTapとしても、開店当初から描いていた、夢のコンサートが実現して忘れられない一日になりました。
「早く始まらないかなぁ・・・。」
会場は開演を待つお客さんでぎっしりです。
午後6時、開演です。
3人が登場し、会場からは大きな拍手が・・・。
(元気いっぱいで・・・)
「こんにちはっ!!」
(チラっと賢作さんを見たあと・・・)
「こんばんはぁー。」
会場大爆笑!!
「まぁずい 『ご挨拶』 ですねぇ・・・。」
 またまた会場、大爆笑!!
(ちょっと照れながら・・・)
「(音楽)業界では、おはようございますなんですよ、ねっ。」
と宮野さんの方を見る。
ニコニコしてうなずく。
当日の司会は賢作さん。
ピアノはもちろん、楽しい会話で会場を盛り上げてくれます。
冒頭、次のようなお話をしてくれました。
「僕はかねがね思うんですが、この方(俊太郎さん)の朗読を模範演技ととらえる方がいるんですが・・・みなさんはみなさんで好きなように思った通り朗読して下さい。今日はひとつの例と言うことで見ていただければ、と思います。」
「私も毎回言ってますよ。
 作家が読むんだからといって、それを模範だと思わないでください・・・と。」
俊太郎さんは、これまでに2万3千冊くらい本を書かれたそうです。
コンサートでは詩人と言うより、芸人さんという感じがしました。
お話をするときのトーンにすごく変化があって、朗読はもちろん普通のお話もとても楽しいんです。
アルトサックス奏者の宮野さんは、見た目通りのとても穏やかな感じの紳士です。
サックスをプレイしているとき以外は、終始笑顔を絶やさない方です。
最初に読んでくれたのは「あいうえおうた」。
俊太郎さんの発する言葉が踊り、それを賢作さんのピアノと宮野さんのサックスが追っかけます。
後半は、言葉と音が入り乱れて会場ににうねりを起こします。
「いいねぇ、アバンギャルドで・・・。朗読だけだと柔らかくなって、音楽だけだと前衛になってしまうけど、両方そろうといいですねぇ・・・、と自画自賛しています。」
「言葉と音楽は相補ってひとつの作品を作るんですよ。」
「と言うひとつの例です。」
次に読んでくれたのは「にゅるぺろりん」。
会場全体がにゅるにゅるにゅるにゅるぐるぐるぐるぐるしてきます。

読み終わって俊太郎さんが賢作さんと宮野さんに・・・。
「この音楽は全部、今この場ででっちあげてんでしょ、おたくたち。」
「そうです、すいません。」
「絵本にはちゃんとね、文字が書いてあるんですよ。」
「でも今、ぐるぐるの数とかめちゃくちゃでしたよ。」
「あれは、前もって厳密に計算してあるんですよ。」
会場大爆笑!!
「じゃぁ、何回言ったんですか。」
「あれはもう・・・、7回半くらいってちゃんと決めてありますから・・・。」
「さすが、詩人は違うんだなぁ。」
「わたし、ときどき、すごく嘘つきますから・・・。」
またも、会場大爆笑!!
つぎは「もこもこもこ」。
このコーナーは、お客さんにも体表現で参加してもらうコーナーです。
俊太郎さんも賢作さんもお客さんがどんな風に表現するのか、興味津々のようでした。
まずは、俊太郎さんが朗読してくれます。
「さぁ、前衛芸術を見せてもらおうじゃないか、これをどう料理するか。どなたかどうですか。」と、俊太郎さんに呼びかけられましたが、お客さんは恥ずかしがってなかなか手が上がりません。
「絵本にこだわらずに自由に言葉を発したり、全体として、『もこ、もこもこ』っていう絵本の基本的なコンセプトを生かしてもらえればそれで良い、つまりノンセンスであり、なおかつ肉体的なおもしろさがあれば良い、と思います。」
と言う俊太郎さんの演技指導のもと、勇気をふりしぼってふたりのお客さんが体を使って「もこもこもこ」を表現してくれました。
「もう一組くらいどうですか。」との賢作さんの呼びかけに、別のお客さんがこれまたひと味違った豊橋版「もこもこもこ」を表現してくれました。
こちらは、俊太郎さんが朗読をしてくれました。
2組のお客さんは演技が終わるまでとても恥ずかしかったかと思いますが、一生の思い出になったのではないでしょうか。
続いて、「のみのぴこ」。
俊太郎さんの独壇場、十八番なのだそうです。
「これはのみのぴこが・・・。」
だんだん加速する言葉に、会場全体が聴き入ります。
「これ難しいよね。」
「・・・全然・・・。」
会場爆笑!!
「僕はできないなぁ。」
「だって、自分で書いてんだから。」
「これができる内は、まだボケてないってことだな。」
(笑いながら・・・)
「そんなことないとおもうよ、ボケてもこれだけ残っちゃったりすんじゃないかな。あと何も覚えてなくて。老人ホームで『こぉれぇはぁのぉみぃのぉぴぃこぉ。』とか言って、おばあさんたちに受けたりして・・・。」
会場から大きな拍手と爆笑!!
次は「ことばあそびうた」より十編の詩を朗読してくれました。
「かっぱ」では、言葉をいじくり廻し、それに賢作さんのピアノと、宮野さんのサックスがからみ大騒ぎ。
そのあと「ばか」を読んでくださったのですが、俊太郎さんがその題を読み上げるだけで、会場から爆笑が・・・。
一部の最後は「えほんのくに」。
賢作さんの奏でるピアノの旋律に乗って、俊太郎さんが読み上げます。
会場はし〜んと静まりかえり、ステージの二人に聴き入っていました。
後で考えると、一部で唯一お客さんが聴くことのみに集中するコーナーでした。
少し時間があったので、音楽なしで詩の朗読をしてくれました。
まずは「おならうた」つづけて、「ないないづくし」を朗読してくれました。
「今日、みなさんが分かったこと、それは『詩はダジャレ』です。」
「ダジャレじゃない詩だって書いてますよ。」
「じゃ、それを行ってみましょう。」
「それじゃ、これは西洋風な論理的な詩ですけど・・・。」
ということで・・・。
「であるとあるで」を朗読してくれました。

「詩はダジャレじゃなくて『おふざけ』でしたね。」
会場大爆笑!!
最後に「ゆっくりゆきちゃん」を朗読してくれました。
第2部は、賢作さんと宮野さんのジャズでスタートです。
俊太郎さん、賢作さんと山本容子さんで作ったCD付詩画集の版画をバックに次の4曲を聴かせてくれました。
1. Have Yourself A Merry Little Christmas
2. 六月のうた
3. Dream of Konitz
4. 煉瓦頌
1曲目は定番クリスマスソング、他の作品はすべて賢作さんの作品です。
お二人のリズムに合わせ、会場のお客さんも体を揺らします。
最後の曲、煉瓦頌は賢作さんがある団体から作曲を委嘱された作品。
赤煉瓦を想わせるノスタルジックなバラードです。
演奏が終わる頃には会場は、お二人のサウンドにとろけてしまっています。
「お酒が飲みながら聴きたいなぁ・・・。」と言うお客さんの声が聞こえてきました。
再度、俊太郎さん登場。
昨年発売した CD「家族の肖像」より、8編の詩と音楽を聴かせてくれました。
映像と共に「家族の肖像」を朗読、演奏するのはなんとこのイベントが初なのだそうです。
写真を提供してくれた方からは「いろんな想いが交錯して涙が出てきちゃった。」との声が聞かれました。
続いては、豊橋在住の小学生、ことみさんといっしょに「きりなしうた」を朗読してくれました。
これは、お母さんと男の子のお話ですが、俊太郎さんがお母さん、ことみさんが男の子の部分を朗読してくれました。
元気に、よどみなく朗読してくれました。
読み終わり俊太郎さんから「なにかもうひとつやる?それとも唄でも歌う?」と問いかけられ、照れてしまうことみさん。とてもかわいらしかったです。
最後は会場のみなさんと一緒にハウルの動く城の主題歌「世界の約束」を歌いました。
初は、少し大きめの声で歌っていた俊太郎さんでしたが、歌声を会場に渡し、じっと耳を傾けている姿が印象的でした。

その後、アンコールで俊太郎さんが「朝のリレー」を、賢作さんと宮野さんが「Love Me Tender」を演奏してくれました。
イベント終了後、CDや絵本の販売が行われました。
会場は感動さめやらぬお客さんがいっぱいで、スタッフは大忙しです。
恒例のサイン会は、長蛇の列!!
みなさんあこがれの人にサインをしていただき大喜びです。
賢作さんと宮野さんもサインに追われます。
この日、初めてお二人の演奏を聴いて虜になった方もたくさんいた筈です。
恒例の打ち上げ記念写真です。
俊太郎さんは少し前に帰られましたが、残ったみんなが店を出たのは午前0時!!
賢作さんは、お酒と打ち上げが大好きです、この日もずっと飲んでました。
飲んでしゃべって、とても明るい兄貴という感じです。
宮野さんは風貌通りのダンディな口調でスタッフとやさしくお話をしてくれました。
またの再会を誓って打ち上げを終えたのでありました。
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